ユーザ名: パスワード:
  • RSS
  • RDF
  • ATOM

なくした傘

執筆 : 県担当者|カテゴリ : 県担当者から | 2009年10月07日 admin001

もし、あなたが外国の街のど真ん中で財布をなくしたら・・・
回りは全て外国人。看板の字も読めない、誰に話をしたら分からない・・・
こうした事態に陥ったら、確実にパニックとなるだろう。

連れがいればまだしも、たった一人だったら・・・
考えるだけでぞっとする話である。

もとより人とのコミュニケーションが苦手な自閉症児者はこうした「生きづらさ」を常に感じながら生活している。
たとえ連れがいたとしても、日本語をしゃべれなければどう相手に言葉で伝えようとしてもコミュニケーションができない。

仮にツアーに参加していたとしても、他の同行者に遠慮して声をかけられないことだってあるだろう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いきなり、変な話題からスタートしてしまったのだが、
昨日、今日と「ジョブトレ事業」の職場実習生が差してきた傘を誰かが持ち去ってしまった事件があり、対応に追われた。

私たちが普段執務している県庁本館ではおよそ1000人の職員とその3分の1ほどの来庁者が往来する。
傘立ては、執務室から見ることができないことから、悪くいえば「無法地帯」にある。
たまたま、来庁者用の傘立てに置いておいた彼の傘、無法者の餌食となったらしい。

折しも、台風接近で雨模様の空。職員の配慮で「持ち主不明」の傘を一時借用してもらうことで対応したが、彼にとって「持ち主不明の傘を借りる」=「もし、持ち主がいたなら自分は泥棒になる」と判断したらしい。
この影響で、午後の実習業務はほとんど「うわのそら」だった。

今日も今日で、本館内の傘立てという傘立てをのぞき見したり、自分と同じような傘を持っている人の後を追ったりと私の目を盗んでは探索行動をつづけていたようだ。

実習を始めてから2週間あまり。ルーティンワークについてはほぼ自立して行動ができることから、一人で庁内を歩いてもらうこともある。
1階の障害福祉課から8階のフロアに用事をお願いしたところ、いつになっても戻ってこない。
慌てて庁内を駆けめぐったところ、彼は受付案内嬢に確保され、課に戻ってきた。

手には1本の傘。
どうしたのかと問いただすと「4階に自分の傘があった」という。
残念ながら、彼の傘の特徴を知らない私、4階のフロアの各課室を一つずつ回り、持ち主を訪ねたが該当者はなし。
彼の傘がどうして1階から4階に移ったかは定かじゃないが、想像するに庁舎外に出るために一時借用した者が4階の住民にいたのかもしれない。

結果としては「めでたし」といきたいところだが、私に断りなく、「こそこそ」と傘を探していた行動について、お叱りを入れた。

しかし、彼が退庁後、ふと冷静に考えると、私の対応が正しかったのか疑問符が浮かんだ。

冒頭に記述したように、彼が自分の傘をなくしたことは外国の街で財布をなくすくらい大きな出来事に感じたのかも知れない。
後で聴くと、傘はお母さんが買ってくれたモノらしい。
私には分からないが、彼なりに思い入れがあるモノかも知れない。
業務時間中、私の目を盗んでまでも探し当てなければならないほど、大切なモノなのかも知れない。

彼の行動を自閉症特有の「モノへのこだわり」と一言で片付けてしまうことは簡単だ。しかし、もし傘ではなくて財布だったらどうだろう。傘と財布を比較するのは如何かと思うが、モノの価値観とはひとそれぞれで異なるから、私にとっては何でもないことでも彼にとっては一大事ということになる。

彼自身にとって大切なモノであれば、私も一緒になって探すべきだったかと思うが、業務時間中だったことから私に話をする術がなかったのかも知れない。
たとえ、ツアーで行動していたとしても、添乗員にお話するコミュニケーション手段がなければ一人で探すしかないのだろう。

傘が見つかってからの彼はすっかり安心したのか、昨日今日の慌てぶりがまるで嘘のように実習業務に集中することができた。

普段、自閉症児の娘といっしょにいると「モノがなくなる」=「大騒ぎとなる」という状況は日常茶飯事だ。
こうしたときに起きるパニックへの対処法も心得ていたつもりだったが、実習生君への対応の一件から、まだまだ自分自身が勉強不足であることを思い知らされた次第である。

ナカポツのパワー

執筆 : 県担当者|カテゴリ : 県担当者から | 2009年09月30日 admin001

「ナカポツ」もしくは「中ポツ」、「就ポツ」と俗称される障害者就業・生活支援センターが山梨には3カ所ある。
私が赴任した当時は1カ所、H20年度に1カ所、今年度からもう1カ所と数を増やしてきた。

障害がある人の職業生活を支援するためには雇用と福祉がバラバラに動いていたのでは適切な支援ができないことは言うまでもない。
この事業は「厚生労働省」の「厚生」セクションの障害保健福祉部と「労働」セクションの高齢・障害者雇用対策部がジョイントして運営している。
とかく、お役所は「縦割り」組織となりがちなのだが、それぞれの専門性を活かすことでシナジー効果を上げようという目的がある。

さて、我が県の「ナカポツ」センターであるが、就労支援・生活支援ワーカーの精鋭9名が日々、県内を飛び回っている。
おかげをもって、平成19年度の就職した人の数は25名、平成20年度は3倍強の85名となった。

国の計画では各障害保健福祉圏域に最低1カ所の設置を目標としており、本県はあと2カ所整備すれば体制が整うという計算だ。

世間からはご批判をいただくことが多い障害者施策であるが、実は見えないところで地道な成果を上げている事例があること、スピリットにあふれるスタッフの存在があることを皆様に改めてお知らせしたい。

加えて、来月から隠し球?の県版障害者ジョブコーチ派遣事業を本格的に始動する予定だ。
構想2年、根回し1年、調整半年という事業であるが、徐々にこの事業が定着し、企業等への就職を願う当事者・保護者の皆さんの支援ができればと考えている。

当然、この事業も「ナカポツ」センターの御協力をいただきながら進めていく予定だ。
スローモーなスタートであるが、不景気な世の中だからこそ、前向きに仕事を進めていきたい。

職場実習生が来る

執筆 : 県担当者|カテゴリ : 県担当者から | 2009年08月03日 admin001

先週まで知的に障害がある方を職場実習生として受け入れていたが(通称:ジョブトレ事業)、
今週からはインターンシップで2名、8月の短期臨時職員として1名を課で引き受けることになった。

残念なことに3人とも男性なのだが、未曾有の不景気の中、就職を目指して頑張る彼ら、
仕事に対するモチベーションが非常に高い。

私が就職活動をしていた20年と少し前、世の中はバブル絶頂期。
不動産が売れ、高級車が売れ、就職も超売り手市場だった。
そんななか、なぜ公務員となったのか・・・・
都市銀行など民間企業では大学の成績のA評定の数によって、採用不採用が決まっていた。
学校に行くより、バイト先に行っていた方が多かった私に残された選択肢は
一発試験?の公務員しかなかったのが現実だ。

社会人となって同級生たちと給料の話になると声が小さくなった。
一応、上級職(大卒)で入庁したのだが、そもそもの初任給が彼らの半額だったからだ。

幸い、実家に居候していたので衣食住はまかなえたが、記憶をたどると手取りの給与は6-7万円だった。
さらに、奨学金を返していたので、ボーナスはなきに等しかった。

数週間前、地元紙の記者に頼まれて、公務員のボーナスカットの影響についてコメントを求められた。
記事はその後掲載される羽目となったが、結婚した際に購入した電化製品が次々と壊れ、買い換えの時期を迎えているのだが、住宅ローンを支払うと何も買うことができなくなった旨を正直に話した。
さらに、長男の部屋の改装を予定していたが、こちらもご破算。

こんな貧乏生活を強いられながらも、彼らに言わせると公務員は安定しているから良い・・という。
しかし、公務員の世界もまもなく俸給が査定される時代が来る。
私の職位は全体の真ん中くらいにあるが、昇任はおろか降格される可能性もある。
公務員の世界も辛い。相応の想いがなければ務まることができない職場だと思う。

さて、実習生たちの一日は緊張の連続だったと思う。
さすがにメディアの取材はなかったが、お役所という一見敷居が高い世界に飛び込んだ彼ら、
私たちの職場をどのように評価しただろうか?

因みに例の「ジョブトレ事業」の参加者に話を聴いてみたが、数千人の職員を擁する我が職場、人の多さに参ってしまったという。
加えて、みんなが自分の名前を知っているものの、
自分が相手の名前を覚えることができなかったことが大変だったそうだ。

事業の主旨こそちがうが、職場実習を行うという行為に変わりはない。
彼らとしても、あわよくば、私たちの職場に入りたいという希望もあると思う。
そんな想いを一心に受けながら、今回の職場実習の体験が有意義なものとなるよう、
アドバイズができればと思う。

特定非営利活動法人 バーチャル工房やまなし出陣

執筆 : 県担当者|カテゴリ : 県担当者から | 2009年07月16日 admin001

平成17年度から平成20年度末まで支援を行ってきた「バーチャル工房支援事業」の満期修了に伴い
自立への道を選んだメンバー有志による「特定非営利活動法人 バーチャル工房やまなし」のお披露目パーティーが甲府市内の某所で開催された。

在宅就労により、経済的な自立を目指すことを目的としたこの事業、ITを用いたテレワーク事業というビジネスモデルをいかに構築していくことができるか・・・
常に頭を悩ませ、時には厳しい言葉を投げかけ、投げかけられながらも、最終的には保護の世界から大会に乗り出す道を選んでいただいた。

おかげをもって、少しずつではあるが仕事の受注も始まっている。

障害があるなしにかかわらず、お仕事をするということはクライアント様に対し、いかに効用をもたらすことができるかが成否のカギを握る。
お涙頂戴では対価としてお金を頂戴することができない厳しい世界でもある。

幸いにも、工房の教育指導をお願いしてきたスタッフの皆様からのバックアップを頂戴する中で、参加者自らの意思を持って意思決定をしていただいたことは、事業を担当してきた私自身、感慨深いものがある。

すでに事業担当者ではなくなり、「来賓」という形で席に呼ばれるようになった。
昨年度までは教育スタッフと角突き合わせて議論していたのだが、法人設立の意思決定がなされて以降、口を出す機会がなくなった。

法人設立に必要な県への手続き云々についても、参加者中心に進められ、私自身が出る幕もなく、無事終了した。

一昨年度、工房の支援を行うためにコーディネーターを配置したのだが、私の指示を無視して「お涙頂戴路線」での営業を行い、「お尻拭き」に翻弄されたこともある。
さらに、事業を委託した某障害当事者団体に対し、行政に対する「おんぶにだっこ」体質から脱却していただくために、厳しい言葉を発したこともある。
舞台裏ではきれい事だけではなく、このように様々な出来事があったのも事実だが、結果として参加者たちが自らの意思で、決断をしてくれた。

私たちの仕事は「法」に基づき動いている。
この「法」とはいうまでもなく「障害者自立支援法」のことを指しているが、
読んで字のごとく、障害者が自立するための支援を行うため施策を講じているが、最終的にはフェイディングしなければならない。
たしかにフォローも必要であるが、あくまでも後方支援であり、黒子に徹するべきと考える。

主役は行政ではなく当事者である。

ジョブコーチのお仕事的にいえば「フェイディング」したということになるのだが、すでに組織としては「支援の対象」ではなく、県として「ビジネスパートナー」となりうるだけの能力を持っている。
また、「当事者でなくては気がつかない視点」という、他の事業者にはない武器も持ち合わせている。

真の意味でのユニバーサル社会実現のため、「バーチャル工房やまなし」の今後の活躍を期待したい。

JC-NET山梨セミナー

執筆 : 県担当者|カテゴリ : 県担当者から | 2009年07月13日 admin001

土曜日・日曜日と山梨県立大学キャンパスにおいてJC-NET山梨セミナーが開催された。

なにせ障害者就労支援については日本の第一人者をお招きして、山梨では初の開催となることから、すべてにわたって不安と緊張が入り交じった日程となったことはいうまでもない。

幸いにも梅雨空ではあるが雨模様となることもなく、「小過」はあったが、「大過」なくスケジュールをこなすことができたこと、JC-NETの小川代表をはじめとしたトレーナーの皆様に御礼を申し上げたい。
とくに、このブログに登場する某特例子会社の社長様には2日間(正確には3日間)お付き合いいただいたことをこの場をお借りして(多分ブログ見ていると思うので)、御礼申し上げたい。

失礼を承知で書くなら、JC-NET=ジョブコーチ・ネットワークの名が示すとおり、今回のセミナーを通じて「お顔が見えるネットワーク」のきっかけづくりができたことが何よりもの収穫である。

セミナー参加者はそれぞれの現場で日々格闘を続けている。
しかし、一人で何かしようとしても必ず行き詰まってしまうことがある。
でも、お顔が見えるネットワークがあることで、皆様と悩みを分かち合い、そして、みんなで一緒になって考えることで窮状を打開するための戦略を練ることができる。

代表のお言葉を借りれば・・・・
就職という目標に向かってシュートを決める・・・
このためには、
1.フォーメーション
2.戦術
3.技術
4.チームワーク
が必要。

我がヴァンフォーレ甲府もJ1復帰を目指して頑張っているが、
私たちも目標を高く掲げて、頑張っていくことができる勇気を頂くことができた。

あとはサポーターの協力もいただきながら頑張るしかない。

最新エントリ
カテゴリ一覧
アーカイブ
執筆者一覧

link to blogger's entries 田崎輝美

link to blogger's entries 県担当者

link to blogger's entries 藤原 真由美(すみよしナカポツ)

link to blogger's entries コピット 岡本

link to blogger's entries 森屋直樹

link to blogger's entries 山梨県障害福祉課 福本康之

link to blogger's entries やまなし福祉しごとネット

森元 尚紀

link to blogger's entries 山梨県障害福祉課 前島 みどり